正座が大の苦手である。
膝下の出っ張り(名前は知らない)が畳に床に突き当たり針が指したように痛んでくる。
足の甲が出っ張っているためなのか、畳に床に当たって痛む。
痺れが来る前にその痛さに耐えられなくなる始末である。
一年ほど前から正座を奨められ、必要にも迫られて、その機会も増えてきてはいるにもかかわらず、
相変わらずの状況で、座禅用の円座を尻の下にかませて座ってもようやく正座時間が短い人並み。
日常はついつい、椅子に座る生活となる。
それも時間が経つにつれ、腰を伸ばし脚を伸ばしてのだらしない姿勢と相成る。
この生活、この姿勢が我が最大の弱点である腰痛にいい筈もないことは判っている。
が、まだまだ なのだ。
最近、パソコンに向う時に正座から入ることにしている。
低い座卓に座布団を敷き、そこで正座する。
座布団があるので前述の痛みが来る時間は少々延びて痺れが先に来るようにはなってきた。
しかし・・・痛い・・・のだ。
正座で作った姿勢がこの痛みで崩れてしまうのが悔しい、情けない。
一体いつになったら、少しでもいいから改善を感じることができるようになるのだろうか・・・
と 嘆いてばかりでも仕方がないので、「正座の効用」を少し調べてみることにした。
1.姿勢と椎間板にかかる圧力の度合い(低い順)
1)上向きに寝る(*寝てばかりもいられないね)
2)直立の姿勢
3)正座
4)椅子に腰掛ける
5)前傾姿勢で立つ(*膝を伸ばした無意識・不注意の中腰ということか・・・)
6)あぐら(正座の2倍以上の負担)
注)*私にとって「あぐら」は経験的にも確かによくない。腰が疲れる。
どうしてもの場合には、後に寄りかかる場所を探し、
揚げ句の果てには足を投げ出すことに相なる。
2.何故、正座がよいのか
1)心を落着かせ、頭の回転をスムーズにさせる状況を作りやすい:←(*納得できる)
2)正座は腹筋を使うため骨盤が正しい位置に保たれる効果あり:←(*そうなのかぁ)
椅子に腰掛ける姿勢は腹筋を使わないため筋力が低下する。
腹筋が弱いとぎっくり腰や慢性腰痛の原因にもなる。
3)この姿勢は大人ばかりでなく、胎児が母親の羊水の中にいる時からの姿勢だという。
胎児にとっても自然で一番楽な姿勢が正座だったのです・・・と
3.正座は日本固有の美風なり。
世間、腰抜けが多きがためか、その後、脚が痺れるの、痛いのと苦情頻りに到る。
されど正座は足を重ね、脚を折り、その上に腰を落ち着けることなり。
腰より上を楽に、下を抑圧することがその精神なり。
脚が痛むも痺れるも、命に別状なきなり。潔く我慢すべし。
我慢のできざるは、これ弱虫なり、腰抜けなり。
力、腰の下に集まりて、丹田自ずから充実し、頭脳静穏となりて、また五臓六腑が活動するなり。
(昭和6年、野口晴哉「正座再考」より)
注)野口晴哉:「社団法人整体協会」の創始者
*昭和6年、日本では昭和初期にすでに正座の習慣が廃れつつあったのだ!!
4.昔の日本人の生活には、正座が基本にありました。
食事は家族で卓袱(ちゃぶ)台を囲み、正座して食べていました。
本を読む時も、書きものをする時も正座でした。
「膝を突き合わせる」という表現もあるように、きちんと話をするとなると、
お互いに正座して話をしました。
武道や茶道、伝統的な芸能の世界では、
技や芸の基本の基本はきちんと座れること、すなわち正座にあり、
上達してくると「座り方から変わってくる」と言われました。
正座は単に行儀のよい座り方ではなく、
日本人の日常生活の中での基本的な座り方であったのです。
日本人は日常生活の中に、
足腰の鍛練法でもあり、瞑想法でもある正座を取り入れることで、
足・腰・肚を中心とした「日本人の体」をつくり、育ててきたのです。
まさに、先人の智慧の結晶であります。
おそらく多くの日本人は、こうしたことを意識して正座していたわけではなかったのでしょう。
日常の、自然な座り方として、習慣化していたのでしょう。
「なんか、こうしていると具合が良い」という感じで、
感覚(身体感覚)でもって受け入れ、実践していたのだと思います。
それほどに、昔の日本人の身体感覚は優れていたと言うことが出来ます。
今の私達はこうした身体感覚を失っています。
この先人の智慧である「正座」をあらためてよく理解し、
実践することを通して、日本人の身体感覚を取り戻す必要があるのです。
(徳田一(啓哲塾塾生)より)
本論は2008.2.12に「あの時のそれ」に掲載したものです。
2009年6月4日木曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿