2009年7月26日日曜日

呼吸、声

技法その5は「呼吸」
(1)まずは「吐く息」を極め、「吸う息はそれに伴って自然にできる」のが理想
:これは水泳でもよく言われることですが「吐く息を極める」との表現が新鮮!
(2)「胸呼吸」から「横隔膜呼吸」へ
(3)「呼吸横隔膜」と「骨盤横隔膜」
*横隔膜呼吸:「吸う」時は横隔膜は下がる、「吐く」時は上がる。
(これはなれないと結構難しいです)
*骨盤底呼吸:座骨と恥骨の三角形で正座し、骨盤底横隔膜を意識して呼吸する。
(4)能での掛け声など激しい発声時には「肚と肛門」を瞬時に引き上げる。

その6は「声」
(1)肚の深部に力(腹直筋に力を入れることではない)
(2)上下の横隔膜とそれを包む深層の副側筋を意識

今回は取り敢えずここまで〜〜
次の観能の時にここまでの内容を踏まえて観てきたいと思っています。

2009年7月25日土曜日

雨蛙


この辺りでちょっと一息。
一ヶ月ほど前になりますが、
月に二回ほど仲間と一緒にやっている千葉の畑。
沢山の雨蛙の子供がぴょんぴょん跳ね回っておりました。
写真は、アジサイに飛び乗っていた子です。

すぐそばに田圃があるからでしょうか・・・
横浜辺りでは蚊はぶんぶんいるけどカエルは見なくなりましたからねぇ〜〜

「指シ込ミ」と「ヒラキ」

第4の技法
能の動作で「指シ込ミ」とは「腕を前に出して進む」動作で「無限の宇宙空間」を幻想させ、
「ヒラキ」とは「出した腕を大きく開きながら元に戻す」(翼を広げる感覚!)動作で
「現実世界に引き戻す」のだそうだ。

ここで著者は、運動のための二大関節は「股関節」と「肩関節」であるとし、
(1)腕は肩甲骨から伸びている感じ(長い腕)
(2)肩甲骨の動きを引き出すのが「肘」
としている。

*ポイント:「股関節から伸びる長い脚」と「肩甲骨から伸びる長い腕」

2009年7月23日木曜日

「すり足」

第三番目の技法は「すり足」

既述した「足裏三点立ち」「内股を擦るように歩く」が大前提である。

(1)股関節から脚を出す。:膝から下で歩かず、股関節から長い脚のイメージ。
  (これを実践しようとすると、簡単なようで、なかなか奥が深い)
(2)爪先を上げる(足首を脚全体の支点とする)。足裏よりも股関節を意識する。
(3)爪先を下げる。
(4)床をつかむ(足裏でしっかり床をつかむ)。

すり足に拘らずとも、日常生活に於いて
「股関節からの長い脚」歩行は「足裏三点立ち」「内股擦り歩き」とのセットで
極めて示唆に富み、実に面白い!!
(ただ、実際の具体的内容は多分に感覚的なところでもあり、
と 言うことは人それぞれに捉え方が異なると思われるので、記述しきれない。)


2009年7月20日月曜日

「立つ」

能楽師の「立つ」ということ。
(内容理解の為には、まずは実際に能舞台で「能楽師の立ち姿」を見ることが最善。)
著者の指摘するポイントは三つ。
(1)体軸感覚
(2)重心感覚
(3)スカイフック感覚

1.体軸感覚:身体に一本の線(軸)を捉える。(頭の先から脚・足裏まで)
(1)足裏三点立ち(既述)
(2)上半身(頭から仙椎まで)を一本に:背骨中心より前側
(3)下半身の両足で広がる感覚を一本化:脚の内転筋を意識(内股を擦るように歩く)

2.重心感覚
(1)丹田の意識(肚 感覚)・・・・*肚:仙椎の前側
(2)水平化(骨盤を水平に保つ)
*骨盤を水平に保つのは「サムライ文化」(水平に保つことで刀・2本を腰に差して保てる)
 :津村禮次郎「まっすぐに立った時や運んだ(歩いた)時に唐織の裾が踵から離れないため」
 ・・・確かに骨盤水平でなければ(例えば前傾だったり後傾では)刀は抜けないね・・・

*町民文化であった日本舞踊では「骨盤は前傾」:矢田部英正氏「たたずまいの美学」
 ・・・これは面白い文化比較論

3,スカイフック感覚:天から吊り上げられる感覚
(1,2で一本の軸で「地にめり込む感覚」になった身体を自在に動ける感覚にするため。)

4.「脇の下に空気の玉が入っているイメージ」を作ることで
「能での立ち方」をより効果的にできる。
更には「背中に十字(肩甲骨で横のライン、肩甲骨の間から仙椎まで縦のライン」をイメージ。
(背中十字はバレーのレッスンなどにも用いられるとか・・・)


大腰筋

六つの身体技法その1は「大腰筋」。
米国の研究では、一見(表面的には)強そうに見えるアスリートとスーパーアスリート
との決定的な違いは深層筋、特に大腰筋だそうである。
深層筋、大腰筋については以前、「インナーマッスル」の項でも触れました。

しかし、私の場合、あまりに経験不足です。
この深層筋活性化の具体策について
現状では、安易に読み取ることも書くこともできません。
(そんなことはしない方が良さそうにさえ思えます。)
具体的な活性化法については、本書の続編(DVD付)などもあるようなので、
必要となればその時に、きっちり追求する方が良さそうです。


2009年7月16日木曜日

能に学ぶ身体技法


能楽師は70歳、80歳を過ぎても舞台上で舞い、謳う。
ある時は助走なしで飛び上がったり、
宙返りまでやってしまう。

また、歩くにしろ舞うにしろ、立ち居振る舞いは
私のようなど素人から見ても見事である。
立ち姿だけでも絵になる。
それはなぜなのか・・・・

その答えは「深層筋」にあり、
普段は意識できない深層筋を能の動作では
使っているというのが著者の主張。
深層筋を使うことで、高齢であっても
現役でしっかり動ける身体ができていると
結論づけている。

「深層筋活性化の6つの身体技法」として
記述されている内容を、自分なりに
箇条書きにしてみた。個々の詳細は
今後のコラムで取り上げて行くことにする。


1.「大腰筋」の意識と活性化
2.「立つ」
(1)体軸感覚
(2)重心感覚
(3)スカイフック感覚

3.「すり足」
(1)股関節から脚を出す
(2)爪先を上げる
(3)爪先を下げる
(4)床をつかむ
4.「指し込み」と「ヒラキ」(股関節と肩関節)
5.「呼吸」
(1)横隔膜呼吸
(2)骨盤底呼吸
6.「声」

本書では深層筋の活性化をテーマに「能楽師の身体の使い方」と
スポーツ医学の観点からも米国で注目されている深層筋活性化技法「ロルフィング」の両面から
アプローチしている。深層筋活性化のための具体的なエクササイズにも触れてはいるが、
ハウツーを求める読者には物足りない部分も多いらしく、書評は必ずしも芳しくない。
しかし、エクササイズはともかく、私の関心事であった
「能楽師のあの身のこなし はどこからきたのか」の観点からみると
その精神性を含め、非常に興味深い内容だった。



能楽師の足


最初に能を見た時に、能楽師の足運び、
特に足の甲が一定の角度で乱れず
足の指が甲側に折れることは決してないことに驚いた。

「能に学ぶ身体技法」の神髄に触れる前に、
この足(甲部・踵・前足首)の形について「なるほど」と
膝を打つ記述がありましたので写真と共に抜粋。

あまりに表面的表現ではありますがポイントは二つ。
(1)足裏三点立ち(右図)
この三点を意識して実際に歩いてみると、確かに
甲がむしろ膨らんだ形が維持できることが実感できる。

(2)足首の前方(踵と反対側)を折る(吸い込む感覚)で
踵を支点に上げる、下げる・・・

この足運びは、上述のような表面的なものでなく、
大腰筋や股関節に関連したより深いところにポイントがあり、
能楽師の「すり足」に繋がっていくのですが
本稿ではとりあえずここまでにしておきます。



2009年7月5日日曜日

深層筋

先のコラムで古い記事を掲載しましたが、意外にもこれから追求してみたいと思っていた
「能楽師の身体能力」にも関わりが深いことが分かってきました。
先の記事での「アウターマッスル」とは「表層筋」、「インナーマッスル」とは
「深層筋」と呼ばれます。
通常我々が使っていない深層筋が最近の研究で見直されてきており、
能の動きはまさにこの深層筋を使うものらしいというものです。
そして、深層筋の代表格が大腰筋。
前掲、「ワキから見る能世界」の著者、安田登氏の著に「能に学ぶ身体技法」があり、
読み始めたところ。興味津々です。