25日の読売新聞夕刊の記事・健康のページに
拓殖大学学長、渡辺利夫氏の経験に基づく記載あり。
「健診/検診のマイナス面」
氏は11年前、還暦を機に検査を受けるのをやめた。
その理由は、直前に肺のCT検査を受けたところ「影がある」と言われ、
細胞を調べる検査で「異常なし」と言われるまでの2週間、「がんではないか」との不安に
苛まれ、半病人の状態だったとのこと。
その時「年齢と共に、検査で異常が見つかる頻度が増えるのは当然ではないか。
自分は健康のためだけに生きているのではない。病気のことにかかずらわって、
短い人生の貴重な時間を空費できない」と思ったそうです。
それ以前にも仕事でベトナムに行った時、原因不明の下痢、腹痛、発熱が起き
「もう東京の空をみることができないのではないか」と思う程苦しんだことがきっかけで、
体のことが気になって仕方がなく、しばらく仕事にも身が入らなかった。意識が体のことに
向いて、どんどん内向きになっていった・・・とのこと。
検査をやめて1年位は不安はあったもののその後はストレスから解放された。
体のどこかが痛かったり、違和感があったりすると、神経質な人はすぐに病院に駆け込む。
医師も「精密検査をしましょう」と言う。
そうすると、何度も検査で確かめないと気が済まない「確認恐怖症」の深みに嵌って行く。
「老いや死を遠ざけようとする心理そのものが逆に病や死を自覚させる。
遠ざけたいという想念が自分に絡み付いてきて逃れられなくなります。」
記事を読んで「ホントにそうだ!」と思った。
現代医療を否定するものではないが、医者に頼ろうとする側の心に問題がある。
相談を受けた医師が、何もしなくてもよいと言う筈もなく、薬を使い始めればやめられない。
それでも異常を感じれば更にエスカレートすることにもなりかねない。
検査をすれば異常が見つかり、それを気にしての病院通い。まさに泥沼。
そんなことにかかずり合っている暇はなく、我が人生に残された時間も少ない。
昔の仲間と会えば話題は身体のこと・病気のこと・・・
そんなことより、耐え難い痛む・苦痛がない限り、今を見つめて楽しんで生きることが
より豊かな人生なのではないか・・・
若い時代はともかくも、古希を迎えた私にとって大いに共鳴できる記事でありました。
自分の身体、
他人(医者)に頼る前に、
自らの「身体感」を失わないようにすることが肝要!
全文は読売新聞の医療サイト「ヨミドクター」に掲載されています。